漁港めし【伊根町蒲入水産】:秘密の漁港で食べる新鮮ランチ

京都府北部・丹後地方。

日本三景の一つでもある天橋立や舞鶴の軍港・赤レンガの倉庫街、伊根町の舟屋郡など有名な観光地が数多くありますが、東名阪などの日本の産業の中心地からは少し離れているため、少し縁遠い地域というイメージはあるかもしれません。

ですが、そのかわりに海や山や里の自然や古い文化が今も色濃く残っている地域でもあります。

そんな丹後の一番北の端、与謝野郡伊根町に蒲入と呼ばれる地区があります。周りを険しい山々に囲まれてひっそりと佇む小さな漁村です。

近くには飲食店もコンビニも何にもない、海と山しかない場所ですが、実はそんな小さな漁師町で新鮮な魚たっぷりのランチがいただけるんです。

今回はそんな自然をいっぱい感じながら食事ができる蒲入水産の「漁港めし」をご紹介します。天橋立からは車で30分ほど。丹後観光の際のお昼ごはんに是非予約の上どうぞ!

営業期間にご注意!
2019年の営業期間は4月13日(土)から10月7日(月)まで。
土・日・月・祝日のみの営業です。
営業時間 11:00から14:00(ラストオーダー13:30)
予約が必要です!

※5月1日・8月1日から16日はお休み
※20名以上の団体さんは平日も予約の相談可能です
※土日祝は20名の団体まで予約可能

与謝野郡伊根町蒲入地区の漁民会社「蒲入水産」

丹後半島の海岸沿い、というか海のそばの崖沿いを通る国道178号線をバイクや車で走ったことのある方は、経ヶ岬の東側辺りの一見何もなさそうな山道にいきなり「漁港めし」と書かれたのぼりが点々とはためいているのを見かけられたことがあるかもしれません。

「漁港めし」「蒲入水産」が運営している魚料理の定食屋さんです。

「蒲入水産」は京都府与謝野郡伊根町にあります。地図ではこちら。

蒲入地区は舟屋で有名な伊根地区からさらに丹後半島を奥へ進んだところ、半島の一番険しい地点「経ヶ岬」のすこし手前にあります。経ヶ岬の東と西とを行き来することは海からも陸からも、昔は難しかったでしょうから、恐らく宮津などを中心とした文化圏の一番西の端の集落と言えるかもしれません。

その小さな漁村にある「蒲入水産有限会社」は蒲入地区に住む人たちが出資して作られた会社で、定置網漁を行ったり、水産加工を行っています。「漁港めし」は「蒲入水産」の事業の一つで定置網でとれた新鮮な魚を使った料理を提供する飲食店です。

以前は伊根地区から山道をくねくねと30分ほど車を走らせないと辿りつけませんでしたが、2016年3月に蒲入トンネルが開通しました。

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トンネル左手の旧道を通るとワインディングロードの崖下に蒲入集落を臨むという絶景も

山道の一番険しい部分がトンネルになり、とても楽に蒲入まで行けるようになりました。以前の山道の樹木越しに見える崖下の青い海や蒲入の港も感動的な景色ではありましたが、800メートル弱のトンネルを抜けた途端に広がる広々とした日本海もなかなか気持ちがいいものです。

 

魚の荷上場でいただく自然むき出しの「漁港めし」

蒲入トンネルを抜けるともうすぐ蒲入の集落です。道なりにずっと集落の中を進みましょう。

漁港めしのある場所は

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「ここです。」と主張せねばならないほどの雰囲気

さて、蒲入の集落を通り抜けると突き当りにいきなり現れる「漁港めし」の看板。

ですがその奥を覗いてみても漁港ならではの船着き場や荷上場しか見えません。そうなのです。「漁港めし」ではその名の通り漁港で食事がいただけます。文字通り「漁港」でご飯を食べるのです。

食事をするための建物があるわけではなく、食事をするのはまさに漁港の荷上げ場。何も知らずに初めて訪れると、なかなかの新鮮な衝撃です。

先払い・セルフ・のんびり

まず、現場に着いたら写真左手の看板の後ろにある建物へ入り、お店の方に声をかけます。予約していた旨を告げ、その場で先に支払いを済ませます。

そのあと、右手の荷揚げ場の屋根の下に並べられた会議室にあるような長机とパイプイスの座席へ移り、食事が運ばれるのを待ちます。お茶などはセルフサービスですので先ずは一服しましょう。

その座席から見える景色がこちら。

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癒し以外のなにものでもないよね!

この景色を見ながらぼんやりしているだけでも、あ~来てよかった…と思います。聞こえるのは波の音とカモメやトンビなどの鳥の鳴き声だけ。

そして時々スピーカーから流れる電話の呼出音…。

もともと漁港ですので、外にいる人たちにも聞こえるように、事務所の電話の音がスピーカーで流されているのです。けどそれも漁港ならではの雰囲気ですね。

料理を待つ間、大体の人がウロウロしながら海をのぞき込んだり、写真を撮ったりして楽しんでいます。なんだか何もかもが新鮮な体験なんですよね。晴れている日の景色ももちろんですが、雨の日の青々とした山々に霧がかかっているのを眺めるのも素敵ですよ。

メニューはおまかせのお魚盛りだくさん定食!

さて、そうこうするうちに、いよいよ料理が運ばれてきます。

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メニューはその日のお魚の獲れ具合次第

新鮮な魚貝尽くしです!!

メニューはこの定食一種類で、一人税込2,000円です。(写真の天ぷらは2人前)

出される魚の種類はその日獲れた魚によるので行ってからのお楽しみ。お刺身は近所の居酒屋さんなら「盛り合わせ」としてそれだけで2,000円くらいするんじゃないかしらというような量です。新鮮だから歯ごたえプリプリ、臭みもなし!

他に魚の煮つけ、魚の味噌汁、野菜や数種類の魚の天ぷらなどなど…。

それから、地元でとれた水菜のお浸しがよく添えられているのですが、これがまたおいしいのですよね。ちょっと刻んでふりかけてあるだけのネギもすごくおいしくて、きっと水がおいしいんだろうなあと思います。

そして、忘れてはならないのが丹後産コシヒカリで炊かれたごはん!

実は丹後米は収穫量が少ないため、あまり大規模には流通していませんが、日本穀物検定協会の食味ランキングで特Aを何度も獲得している知る人ぞ知るおいしいお米なんです。わたしもいつも丹後地方へ行くと、道の駅や「にしがき」で買って帰ります。

料金は先払いですので、食べ終わったらそのまま自然な流れで帰りましょう。もし量が多くて食べきれなければ、持ち帰り用のパックが用意されていますので、自分で包んで帰ることができます。パック等はセルフサービスのお茶などが置かれている机の引き出しの中に入っていますよ。

定食以外には缶ビールなどの用意があります。ドライバーさんでなければ、缶ビール片手に気持ちの良いひと時が過ごせますよ。また、ご飯のおかわりも有料ですが可能です。

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目も耳も肌で感じる風もおなかの中も、自然でいっぱい

「漁港めし」は蒲入地区の女性たちが運営されている食堂です。ですので料理をするのも漁村の普通のお母さんたちです。

流通事情の発達した現代ですから、都会の料理屋さんへ行けば、もっと繊細で洗練された、なおかつ新鮮な魚料理を食べることは可能かもしれません。ですが、蒲入水産の「漁港めし」にはそこでしか味わうことのできない料理があります。

美しい漁港の景色を目で見て、潮の香りや港の風を鼻や肌で感じ、鳥や動物の声(と電話の呼出音)を耳で聞きながら、その土地で採れたものをその土地の人が料理したものをいただく。

いつまでも気持ちのいい思い出として記憶に残る食事になると思いますよ。

漁港めしの建物のなかには少しですが海産物や佃煮などのおみやげものも売られています。

地元で採れたワカメなどもいいですし、有名なものでは「へしこ」というサバの糠漬けなんかがオススメです。とっても塩辛いんですが旨みがギュッと凝縮されていて、お酒のさかなにはもちろん、薄くスライスしてお茶づけにしたらたまりませんよ!

漁港めしでは以前、細かく刻んだへしこがちりばめられた水菜のサラダも定食の小鉢の中にありました。おいしかったなあ。

もっと地のものをたくさん見てみたいなと思われたら丹後のスーパー「にしがき」に寄るのもおすすめです。宮津市にある竹中缶詰の絶品オイルサーディンなんかも手に入りますよ。

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ABOUTこの記事をかいた人

大阪北部に生まれ育ったのんびり屋です。
わたしが実際に、

*訪れてみた場所・お店
*食べたり、使ってみたもの
*ぼんやりと思った気持ち

などなどを好き勝手につづっています。

さらに詳しいプロフィール

2018年度阪急電鉄阪急電鉄『ブログdeバーチャル駅長』コーナーで阪急沿線のことについて紹介するブログを書かせていただきます。

2017年2月20日、有名ブロガーさんが発行する合同メルマガ『EdgeRank』へ寄稿させていただきました!
また、ライターとして月刊誌『CHINTAI 近畿版』にて、地域情報を紹介させていただいています!