少し前までは缶詰というと「保存はきくけど味はまあまあかな…」というものでしたが、最近では通信販売で日本各地のおいしい缶詰の取り寄せができたり、世界中の缶詰を肴にお酒を飲むことができる缶詰バーなどが流行ったりと、だいぶ缶詰のイメージも変わってきましたね。
今回はそんな缶詰の中でもオイルサーディンの常識を覆すといっても過言ではない京都府宮津市の「竹中缶詰」のオイルサーディンなど、とてもおいしい缶詰をいくつかご紹介します。
2016年7月2日放送のNHK『えぇトコ』でも紹介された丁寧な手仕事から生まれる缶詰です。
Contents
京都府宮津市にある小さな缶詰加工会社「竹中缶詰株式会社」
「竹中缶詰株式会社」(正しくは「竹中罐詰株式会社」)は京都府宮津市にある水産物の缶詰加工会社です。
会社のある場所はこんなところ。
宮津市は京都府北部の丹後地方にあります。宮津市で有名なのは、なんといっても「日本三景・天の橋立」ですよね。実は宮津市は北部と南部が離れた場所にあり、その間を天の橋立が繋いでいるちょっと変わった自治体です。
南部にある市の中心地は、京都丹後鉄道が走っていたり、大阪市の梅田まで続く国道176号線の起点になっていたりと少しにぎやかな部分もありますが、市の北部は穏やかな宮津湾を望む田園やその後ろに続く山々など、たいへん自然の美しい場所です。
「竹中缶詰」はそんな宮津市の栗田という静かな港町にある会社です。
竹中缶詰といえば! オイルサーディン
「竹中缶詰」の主力製品といえば、なんといっても「オイルサーディン」(イワシのオイル漬け)です。
オイルサーディンの缶詰はスーパーに行けば普通に売ってますよね。だいたい一缶200円台ぐらいでしょうか。
けど「竹中缶詰」のオイルサーディンは普通にスーパーで売っているものとは全然違うんですよ。お値段もちょっと違って500円超!
けどその差は十分に感じられるおいしさです。
こだわりの素材で丁寧に作られた贅沢なオイルサーディン
さて、こちらが竹中缶詰のオイルサーディン。宮津方面へ行った際に買ったものです。
サイズ的には通常のスーパーで手に入るものと同じくらい。だけど値段は倍くらい。そのお値段の違いはなんなのか。
その秘密を探るべく、缶ブタのリングを起こしてオイルがこぼれないようにそっと開けてみると…
お魚がきれいに並んでる!!
きれいに切りそろえられたイワシが丁寧に並べられていて、またイワシの一匹一匹に傷みがなく、つやつやしています。普通のオイルサーディンはもっとイワシの表面の皮が少し剥げていたりしますが、竹中缶詰のオイルサーディンは全くといっていいほど無傷です。
「竹中缶詰」では機械に頼らず、地元の女性従業員さんたちがすべて手作業で加工をされています。
一匹一匹のイワシの頭を包丁で落として内臓を取り出し、形をきれいに整えながら一匹ずつ缶に詰めていく…。だからこんなにきれいなオイルサーディンができあがるんですね。
きれいに並んだイワシの上に乗せられた四角に小さく切られた月桂樹の葉っぱを見ても、丁寧な仕事をされているなあと思われます。
また見た目だけではなくもちろん品質にもこだわっていて、近海の良い材料を使い、その素材を生かす調味をされています。
新鮮な材料を使っていれば素材の味を生かした調味がいいのは当たり前。缶の裏面の原材料の記載を見てみると、
- いわし
- 綿実油
- 食塩
- 月桂樹の葉
となっています。シンプルすぎる!
オイルサーディンはオリーブオイルなどで作られますが、「竹中缶詰」のものは綿実油(綿の種からとる油)が使われているので非常にあっさりしています。イワシ自体も嫌な魚のクセも全くなく、お値段に見合ったとっても上品な味のオイルサーディンです。
3種類あるオイルサーディンのパッケージ
そんなおいしい竹中缶詰のオイルサーディンですが、3種類のデザインのパッケージがあります。
天の橋立デザイン
まずは、上でご紹介した天の橋立の写真があしらわれたデザインのオイルサーディンの缶。
主に天の橋立周辺のお土産物屋さんで売られています。天の橋立には有名な眺望が何カ所かありますが、このパッケージは飛龍観と呼ばれる南側の文殊山からの眺めですね。
缶とおそろいのデザインの化粧箱に入った5缶入りセットなどもあります。ちょっとした贈り物にもいいかも。
ちょっとゴージャスな紙巻デザイン
お土産物ではなく一般的に販売されているのはこちらのデザイン。
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金色の無地の缶に墨絵風のイワシが描かれた上質な紙が巻かれています。なんだかちょっと高級感がありますよね。
紺色の業務用デザイン
他にも業務用としてちょっとアメリカンなテイストのこんなデザインも。
竹中罐詰株式会社
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以前から竹中缶詰をご存知の方なら、もしかするとこちらのデザインが一番馴染みがあるかも。今は業務用として流通しているこのデザインですが、昔はこちらが通常デザインだったのですよね。
2016年秋にローソン限定で販売されたコイケヤの「ポテトチップスオイルサーディン山椒焼き味」という竹中缶詰とのコラボ商品があります。
こちらは、バーで出されるおつまみとしてのオイルサーディンをイメージした商品なので、業務用のデザインを利用しているのかな。
オイルサーディンにも2種類あるよ!
上でご紹介したのはパッケージデザインの違いでしたが、実は竹中缶詰のオイルサーディンには2種類あります。それはイワシの種類の違いです。
- マイワシ
- カタクチイワシ
の2種類。
マイワシは大きいものだと30cmくらいにまで成長しますが、カタクチイワシはせいぜい10センチ前後。シラスや煮干しになるのがカタクチイワシですね。
どちらも新鮮な魚を使ったおいしい缶詰ではあるのですが、マイワシのほうは京都近海産というこだわりがあり、漁獲量が少ない場合はその分、缶詰の生産量も減ってしまいます。
ですので、タイミングによってはカタクチイワシに比べてマイワシの缶詰のほうが手に入りにくい、ということもあるようです。(お値段もマイワシのほうが50円ほどお高いです。)
では、自分が買おうとしているオイルサーディンがマイワシなのかカタクチイワシなのか、それを見分ける方法ですが、先ず金色の缶についてはパッケージにどちらの魚なのか書いてあります。
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右下の表記が「いわし」か「かたくちいわし」か、です。
お土産物屋さんの天橋立デザインのものについては、マイワシバージョンには緑色の丸いシールが張られています。確か「京都近海産まいわし使用」と書いてあったような…。
業務用はどうなんでしょうね。安定して供給しないといけないので全部カタクチイワシだったりするのかなあ…。知ってる方いらっしゃいましたら是非とも教えてください。
肝心のマイワシとカタクチイワシのお味の差ですが…。
う~ん、どちらもおいしいです(汗)! 一度、同時に食べ比べをしてみたいですね…。
「竹中缶詰」のオイルサーディンのオススメの食べ方
さて、せっかくのオイルサーディンですのでやはりおいしく食べたいですよね。
生でそのままあっさりと!
もうとりあえずシンプルに、缶を開けてそのまま頂く、というのもとてもおいしい食べ方だと思います。オイルがさっぱりしているので常温でも食べていてくどくなることはありません。また、イワシの臭みもありませんのであっさりいただけます。
またイワシの臭みもないのでオイルも残さずいただいちゃいましょう、残すともったいないですよ。ドレッシングづくりなんかに使うとお魚のコクのあるおいしいドレッシングができてしまいます。
火を通してももちろんうまい!
もちろん、普通に料理の材料として使うのもおいしいですよ。ニンニクと炒めてパスタとあえるのは言わずもがな。
さっぱり油のオイルサーディンですので丼にするのもおすすめです。フライパンでさっと炒めたオイルサーディンに醤油で味付けをしてごはんの上へ盛り、青ネギをたっぷり散らして出来上がりです。
炒めるときは敢えてバターを使うのもいいですよ。オリーブオイルのオイルサーディンにバターを合わせるとあまりにも若い人向け過ぎますが、綿実油なのでバターの風味でよりおいしくなります。
また、竹中缶詰にお勤めの方たちの間では、なんとオイルサーディン炊き込みご飯が人気なのだとか。洗ったお米と味付けの醤油やみりんなど、そしてそこにオイルサーディンを入れるんですって。
クセの少ないオイルサーディンだからこそできるメニューですね。
お酒のおつまみにはこれ!
個人的にオススメの食べ方は、缶ごと少し温めて一味唐辛子を少し振りかける、というもの。以前、宮津と同じ丹後地方の間人(たいざ)というところにあるバーのお兄さんに教わった食べ方です。
オイルサーディンの缶ブタを開けてオイルを少しだけスプーンでとり除き、缶ごと直火やオーブンなどで少し温めます。そして、一味唐辛子を缶の中央にすっと一筋振りかけて出来上がりです。
見た目もおしゃれでおつまみにぴったりです。調理の際、オイルの吹きこぼれには十分注意してくださいね。
オイルサーディン以外にもある「天の橋立シリーズ」
「竹中缶詰」の商品としてはオイルサーディン以外にも「天の橋立シリーズ」と呼ばれる缶詰が数種類があります。
ホタルイカ燻製油漬け
こちらは「ホタルイカ燻製油漬け」。
ホタルイカが缶詰になるのか、ということも驚きですが、そもそも「ホタルイカ」自体に馴染みがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ホタルイカは足も合わせて10センチほどの小さなイカで、その名の通り危険が身に迫ると発光する性質があります。主に富山湾などの北陸・近畿地方の日本海側で行われるホタルイカ漁は、網にかかったホタルイカが夜の闇の中で青白く光り、春から初夏にかけての風物詩となっています。
ボイルして酢味噌で食べたり、沖漬けにしたりしたものがスーパーなどでも流通していますが、ホタルイカのとれる地域では干しイカとして売られていたりと身近な食材のようです。金沢のお寿司屋さんで食べたホタルイカの握り、おいしかったなあ…。(素人の生食は、スルメイカと同様寄生虫がいることがありますので厳禁です。)
イカはただでさえ旨みの多い食材ですが、ホタルイカは体が小さいからかさらに濃厚で、それをオイル漬けにしておいしくないわけはない!などと思いつつ、缶詰の蓋を開けてみると…
やっぱり並んでる!
もう蓋を少し開けたときからイカ独特の香ばしい香りがふわーっと、ではなくブワーッと広がります。早く日本酒持ってきてください、と思いますね。
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カキの燻製油漬け
そして、なんと「カキの燻製油漬け」なんてものまで・・・。
京都の久美浜湾を中心とした近海でとれる新鮮なカキを使っているため、やはり漁獲量が少ないと品薄になることもあるこの缶詰。今回の手元のパッケージには「L(5~8粒入り)」とスタンプが押されていますので、もしかするとその時々によってカキのサイズも変わってくるのかもしれませんね。
そして蓋をそっと開けてみると…
ほんとに8個入ってた!
ただでさえ旨みが凝縮されたカキをさらに燻製にして、それをさらにオイル漬けにしてどうするつもりなんでしょうか。
ホタルイカの濃い~濃い~濃厚さとは違う、スッキリとした旨み…。もう日本酒でも白ワインでもなんでもいいから持ってきてください!
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その他の「天の橋立シリーズ」
「天の橋立シリーズ」には他にも数種類ありますよ。
- 沖ギス(ニギス)
- ハタハタ
- 子持ちシシャモ
- ワカサギ
- ホタテ貝柱
どれもおいしそう…。
イワシ・キス・シシャモ・ハタハタ、と魚類を食べ比べてみるのもおもしろそうですね。ワカサギは天ぷらにしてもおいしいんだそうですよ。
「竹中缶詰」天の橋立シリーズの入手方法は?
さて、そんなどれもおいしそうな「竹中缶詰」ですが、普通のスーパーにはなかなか売っていません。どうやって手に入れましょうか。
天の橋立観光のついでに
「竹中缶詰」のオイルサーディンは天の橋立の絵柄のパッケージがあることからお分かりのとおり、天の橋立のお土産物として売られています。
ぜひ、天の橋立へ観光に行かれて、現地でお買い物してみてくださいね。実物の天の橋立は写真とは比べ物にならないくらい美しいですよ!
車で観光する場合は、観光バスが乗り付けるような天の橋立周辺に数件ある大きなショッピング施設で購入するのが便利です。ただ、お土産物として有名ですので、バスの出入りのタイミングなどにより売り切れている場合もあるかもしれません。
また、地元のスーパー「にしがき」でも買うことができます。「にしがき」にはお店の宣伝文句どおり駐車場が必ずありますし、缶詰を買う以外にも、地元ならではの品ぞろえを見て回るのも楽しいですよ。
これらのお店ではだいたい定価で販売されていますが、天の橋立近くのお店、特に天の橋立北端の船着き場から笠松公園へ向かうケーブル乗り場までに立ち並ぶ土産物店では、それぞれのお店で「竹中缶詰」の商品を準備されていて、お値段も微妙に異なります。
また、値段だけでなく、同じオイルサーディンでも「マイワシ」と「カタクチイワシ」の両方をそろえていたり、オイルサーディン以外の「天の橋立シリーズ」を揃えていたり、店によっていろいろ異なりますので、どこで何を買おうか、迷いながらぶらぶら散策するのもいいですね。
やはりネットが便利!
天の橋立にはなかなか遠くて行けない、というときにはもちろんネット上で購入することができます。オイルサーディンだけでなく、他の種類の缶詰も購入できます。
お土産物屋さんでは種類が限られているので、一番便利なのはやっぱりインターネットかな…。
(記事中の商品リンクからもお買い物できます。)
テレビなどのメディアにもよく取り上げられる名品
オススメの贈り物やお取り寄せ品としてテレビなどでも取り上げられることの多い竹中缶詰のオイルサーディン、少し高価な缶詰ではありますが、十分その価値はあると思います。
いつも食べてたオイルサーディンって何だったんだろう、と思うはず。(もちろん、独特のクセのあるオイルサーディンもそれはそれでおいしいですけどね。)
オイルサーディンだけでなく、他の竹中缶詰の商品を是非一度お手元に取り寄せてみて、カパッと間のふたを開けてみてくださいね。きれいに並んだお魚さんたちを見ていただきたいです。