何事もなく終わるかと思われた長距離・平坦コースのツール・ド・フランス第4ステージ。
山岳地帯へ向かうための消化試合的な平凡なレースとなるかとおもいきや、人気も実力もある有力選手が2人も脱落することとなる衝撃的な展開となりました。
それも、その2人のうちの1人が、昨日のステージ優勝者・サガンなんですから、何が起こるかわかりませんね…。
のどかに終わるはずの試合が思わぬ波乱をもたらす展開に
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— Le Tour de France (@LeTour) 2017年7月4日
悪天候で始まった今年のツール・ド・フランスでしたが、天気も回復し、いよいよレースもフランス国内へ。
ほぼ平坦な207.5kmのコースでは、スタート直後に一人が逃げ、そのあとは逃げた選手とのタイム差を一定に保ちながら2,30kmほどのところまでそつなく走り、そして、最後の1kmほどでスプリンターたちによるスプリント勝負…。
そんな、見てるほうとしてはちょっと退屈な、いつもの平坦ステージが繰り広げられるのかと思っていました。
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ゴールまで残り3kmをきったところでクラッシュはあったものの、ゴール前の集団落車はある意味つきもの。実際、ゴール前3km以内のアクシデントよる遅れは、その日のタイムに影響しないという救済措置もルール上設定されています。
「今日は誰が勝つのかな~、純粋なスプリントだから、少し遅れてしまったキッテルがいないとすると、やはりカベンディッシュか、ブアニか、グライペルかな…。」
なんて思いつつ見ていると、いつもスプリントで勝てそうで勝てないクリストフがぐいぐい集団を引っ張り出します。そして、残り200m切ったところで事件が…。
時速約60kmの中での位置取り争いで、カベンディッシュがバランスを崩し転倒、さらにそこへデゲンコルブとスイフトが乗り上げ、勢いで空中で一回転するほどのクラッシュ…!
デゲンコルブとスイフトは自力で起き上がりましたが、カベンディッシュはその後も動けず、レース後の診断の結果、肩を骨折しており、今年のツール・ド・フランスをリタイアしました。
スプリントは生まれながらの才能を持った職人同士の戦い
今回、このカベンディッシュの落車について、大変な波紋が広がっています。
というのも、カベンディッシュの落車は、第2ステージ優勝者のサガンが故意に進路を妨害したことにより起こったのではないか、というのです。
確かに、集団を右側から抜こうとしているサガンのさらに右側から、フェンスとの狭い隙間を上がっていこうとするカベンディッシュに対して、サガンが斜向しているように見えなくもありませんし、肘を出して進路を妨害しているようにも見えます。
ですが、肘が当たったかどうかはわかりませんし、もしカベンディッシュがフェンスとサガンの間へそのまま割り込もうとしていたら、二人とも接触して転倒していたかもしれません。
スプリンターとしての能力は練習から生まれるものではなく、個人の生まれながらの才能によるものだといわれます。とても繊細な気持ちの持ち主も多く、ゴールの一瞬にかけるスプリンターたちの集中力と気迫はすさまじいものがあります。
ですので、実はスプリントの際に選手同士のトラブルはつきもので、肘で小突きあいながらスプリントをするのは日常茶飯事。頭突きをしながら場所の取り合いをするのも、良い悪いは別としてよくあることです。
ですが今回、最終的にサガンは2位でゴールしましたが、その1時間後、審議の結果、30秒のペナルティや最後尾への順位の降格などの処分が下され、さらにその後、失格というたいへん厳しい処分が言い渡されました。
Sometimes I should watch images before I say something. Apologies to @petosagan as I think that decision of the judge is too hard.
— Andre Greipel (@AndreGreipel) 2017年7月4日
サガンに続いて暫定4位(サガン失格後は3位)でゴールしたスプリンターのグライペルも厳しすぎでは、と呟く今回の判定。
失格という処分がどういうものかというと、次の日から試合に参加できないということです。
ツール・ド・フランスは21日間続くレース。とても長い期間なので、もしかすると一発勝負ではなくチャンスが何度もあるレースというイメージがあるかもしれません。
ですが、実際は全くその逆で、21日間のレースを完走するためには毎日ゴールをし続ける必要があります。
どんなに熱があり体調が悪くても、クラッシュに巻き込まれて骨折をしていたとしても、歩いて自転車を押しながらでもフィニッシュラインを通過しないと、次の日のレースには出られません。ゴールができなければそこでリタイアです。
Unfortunately following today’s crash, @MarkCavendish is ruled out of rest of this year’s @LeTour. Heal up well, Mark. #TDF2017 pic.twitter.com/mw1Cf6YaQe
— Le Tour de France UK (@letour_uk) 2017年7月4日
第4ステージで肩を骨折したカベンディッシュは、なんとかゴールはしたようですが、第5ステージには出走せずリタイアとなりました。おそらく、力のかかる肩でなく、手首などの骨折であれば、カベンディッシュは第5ステージにも出走していたと思います。
カベンディッシュはツール・ド・フランスで既に30勝をあげている最強のスプリンター。そのカベンディッシュが進路争いのトラブルでツールを去るのに、同じくそのトラブルに関わったサガンがそのまま出場を続けるべきなのか…。
もしかすると喧嘩両成敗的なところもあるのかなあ、と思ったりもしますが、なんとも後味の悪い第4ステージとなりました。
っていうか、サガンもカベンディッシュもいないツールなんて楽しさ半減だよ!と個人的にはショックなんです!
実はフランス人が優勝してました。
Énorme 🇫🇷🍀🏆un rêve de gosse 😍MERCI les gars @EquipeFDJ pic.twitter.com/lrkxUfEFYd
— Arnaud Demare (@ArnaudDemare) 2017年7月4日
えっとですね、サガンとカベンディッシュのトラブルの陰に隠れてしまって、どうも話題になりにくいのですが、第4ステージはフランスチーム・エフデジ所属のフランス人・デマールが制しました。
ツール・ド・フランスはフランスのレースなので、そこでフランス人が優勝すると地元の人たちは大盛り上がりなのですが、正直日本人のわたしには、フランス人選手はちょっと地味なので、よかったね~くらいの感想です、すみません…!!!