春の芽吹きのシーズンにその存在に気が付いたブタナ。
そういえば真夏にはどうなっているのかな、葉だけが茂ってるのかな、それとも枯れてしまってるのかしら…
なんてぼんやり暑さの中で考えながら、ブタナの群生地へまた足を運んでみました。
ブタナとはどんな植物?【復習】
ブタナというのはキク科エゾコウゾリナ属に分類される植物です。
同じくキク科に属するタンポポと非常に似た黄色い花を咲かせるため、ブタナを実際に目にしたときは、普段イメージするタンポポと比べるとなんだかちょっとおかしな姿をしているため、タンポポに対する自分の記憶に一瞬自信が持てなくなります。
けど大丈夫! ブタナとタンポポは違う植物ですから。
ブタナの一番の特徴は、その茎にあります。
花は確かにタンポポなのに、ありえない茎の長さ。そして筋ばっています。
そして、ブタナの英名catsearという名があらわすとおり、タンポポに比べると少し厚みのある葉の表面には毛が生えていて猫の耳を彷彿とさせます。
ちなみにタンポポの英名dandelionはライオンの歯というフランス語に由来していて、歯のギザギザがライオンの牙を連想させるからだそうです。わたし的にはタンポポの葉はほうれん草を思い出させるのですけど…。
実は夏の植物であるブタナ
さて、そんなブタナですが、見た目以外にもタンポポとは違うところがあります。それは開花期間。
主に在来種のタンポポは春の短い期間にしか咲きません。「はるのうららの隅田川…」の歌詞で有名な滝廉太郎作曲の「花」という歌がありますが、タンポポというとまさに小川の桜並木の根元に咲いているような、春のほんわりとしたイメージですよね。
また西洋タンポポは一年中花を咲かせるといいますが、さすがに35度を連日超えるような大阪の夏にはあまり見かけることはありません。
一方、ブタナの開花時期は6月から9月ごろと言われます。実際には5月にも咲いていますが、春のはじめに咲くタンポポよりも少し遅めでしょうか。期間的には春というよりも夏ですね。
豊中の暑さは尋常ではありません
では実際、真夏のブタナはどんな感じでしょうか。春にブタナを見つけた場所へ再び行ってみました。
ちょっと写真では見にくいですが、茎をびよーんと伸ばしたブタナはちゃんと生えていました。しかしながら、さすがに花は咲いておらず、綿毛の残骸のようなものが長い茎の先に残っていました。
暑さに加え乾燥のせいでしょうか、こころなしか元々筋ばっていた茎もさらに筋っぽくなっているような。
ちょうどこの写真のころは大阪府豊中市は連日の38度越え。夏の暑さで有名な王者・熊谷などよりも暑い日が続いていました。
さすがのブタナも大阪の夏の暑さには勝てなかったか…と思いながら、ブタナの群生地である南斜面を後にしてしばらくのちのことです…。
暑かったりもしたけれど、ブタナは元気です
暑さの中で意識がもうろうとしながら歩いていたとき、視界の隅になにか黄色いものが目に入ってきました。
南側の建物の陰になった辺りに、青々と雑草が茂っており、その中に見慣れた黄色い花が!
日当たりの良過ぎる南斜面の乾燥具合とはかなり違い、ブタナの伸びた茎も勢いがあり元気です。数は少ないですが、花も普通に咲いています。やはり、ブタナは夏も咲く花なんですね。
フワフワの猫耳も元気です
常に日が当たらないその一角は、夏の暑さにもかかわらず、みずみずしい雑草が生い茂っていました。暑い中、緑を見るとそれが雑草であったとしても落ち着くものですね。管理人さんは大変でしょうが、雑草に囲まれた日陰で少しほっとさせていただきました。
春のころに見たよりも茎や葉っぱに元気があるような気もします。やはり、ブタナは夏の植物なんでしょうね。
catsearという名前の由来にもなった葉っぱの表面の毛も、春よりもはっきりと確認できます。白い毛がびっしりと生えていて、ほんとに猫の耳みたいなかわいらしさがありました。
人の生活の場にわざわざ植えたわけでもないのに勝手に生えてくる雑草ですが、四季の移り変わりを感じたり、見てほっとしたり。雑草も植物であることには変わりがありませんね。