世の中には、牡蠣だけでおなかいっぱいになれる夢のような場所があるという…。
それは牡蠣小屋!
最近冬になると、日本全国の牡蠣の産地で牡蠣小屋が営業されていますね。中にはいくつもの牡蠣小屋が建ち並ぶ大規模牡蠣小屋観光スポットもあるとか。
今回ご紹介するのはそんなにぎやかな牡蠣小屋とは一味違う、静かな入り江にひっそりと建つ牡蠣小屋「とれたて漁師の店 稲荷丸」です。
Contents
岡山県の邑久町虫明にある「とれたて漁師の店 稲荷丸」
「とれたて漁師の店 稲荷丸」は岡山県瀬戸内市にある牡蠣小屋です。
場所はこちら。
岡山県瀬戸内市の邑久町虫明(おくちょうむしあげ)というところにお店はあります。
わたしの住む大阪方面からだと車で2時間ほど。岡山県の中でも東の端、兵庫県との県境に近いところです。
「とれたて漁師の店 稲荷丸」へは「岡山ブルーライン」経由で!
「とれたて漁師の店 稲荷丸」へ向かうには、まず「岡山ブルーライン」という自動車専用道路を目指しましょう。
関西方面からだと、山陽自動車道で兵庫県を通り越してすぐの備前インター(IC)をおり、突き当りを左に曲がってしばらく行くと「岡山ブルーライン」へ出ます。
岡山方面からは、岡山市内や倉敷あたりから岡山バイパスを経由して「岡山ブルーライン」へ行けるみたいですね。
「岡山ブルーライン」は元々有料の道路でしたが、今は無料の道路。信号もほとんどなくとっても走りやすい道です。
ただスピードが出やすいので要注意! また野生の鹿も多い地域ですのでお気を付けてくださいね。
「岡山ブルーライン」から虫明へ
「岡山ブルーライン」からは大平山ICか、黒井山グリーンパークという道の駅を挟んだ次の虫明ICで一般道へおります。
虫明ICからの道のほうが走りやすいですが、個人的には太平山ICからの道も山道ですが、好きかな。
途中に「かきがら粉砕工場」という看板を見かけたり、「虫明焼」という焼き物の窯元があったりして、ちょっと気分が盛り上がります。また、山の斜面で馬を飼っている家があったりも…。
いずれのICから行く場合も、虫明の静かな街並みを通り越し、左手に牡蠣漁港独特の景色を見てワクワクしたその先に「とれたて漁師の店 稲荷丸」はあります。(お店へ入る交差点に看板がありますよ!)
邑久は知る人ぞ知る牡蠣の名産地
牡蠣の産地といえば宮城や広島が有名ですが、他にも北海道の厚岸や三重県の的矢湾などなど、おいしい牡蠣の獲れる場所はたくさんあります。
邑久の虫明湾もその一つ。
牡蠣がおいしく育つ条件、穏やかな海と川から運ばれる山のミネラル成分。その両方が揃っています。
その証拠に、こちらの空から見た虫明湾の様子。
虫明湾にびっしりと浮かぶ牡蠣いかだの数のすごいこと!(スマホの方は地図を左へ移動させてくださいね。)
まるで外海から湾内をガードするように、いくつかの島が取り囲むように浮いています。まさに天然の牡蠣の好漁場ですね。
栄養豊富な海で育った邑久産の牡蠣は味が濃く、また身が大きいのが特徴です。調理しても身が小さくなりにくいんだそうですよ。炭火焼にピッタリ!
牡蠣漁師が営む「とれたて漁師の店 稲荷丸」
さてさて、そんなおいしい牡蠣の産地である邑久町虫明の「とれたて漁師の店 稲荷丸」は牡蠣漁師さんが営む牡蠣小屋です。
虫明の町を過ぎたところにあるちょっと雑然とした漁港。そのそばに「稲荷丸」はあります。上の写真の左端の緑のシートのあたりがもうすでに牡蠣小屋です。ほんとに海のそばです!
「とれたて漁師の店稲荷丸」のHPにも書かれているように、虫明のおいしい牡蠣を全国に広めたい、町おこしをしたい、という思いで牡蠣漁師さんが始めたのがこのお店。
牡蠣漁師さんの牡蠣小屋だから新鮮なのは当たり前! お値段も良心的なので、今では遠方からはるばる訪れる人も増えているようです。年々、店の前の広い駐車場に置かれている簡易トイレの数が増えていっているのにちょっとびっくりしちゃいます。
まさに「牡蠣小屋」という風情の店構え
「とれたて漁師の店 稲荷丸」はいわゆる牡蠣小屋。そしてお店の風情もまさに牡蠣小屋です。
港のすぐ横にある手作り感あふれる建物、それが「とれたて漁師の店 稲荷丸」です。
おしゃれなレストランや、観光地のバーベキュースペースなどとは異なりますが、そんなことどうでもいいんです、おいしい牡蠣が食べられるのなら!
もともとあった建物に増築を繰り返したような雰囲気の「とれたて漁師の店 稲荷丸」。
初めて訪れたときにはちょっとドキドキしますが、それをお店の方もわかってらっしゃるのか、「営業中」の看板がよく見える位置に置いてあったり、入口もわかりやすく表示がされています。
牡蠣小屋内にもきれいな水洗トイレがありますが(入り口は店の外です)、店前の広い駐車場にも簡易トイレや手洗い場が何カ所かあります。その辺りの心配りは、店構えの雰囲気とは裏腹に良心的だなあと思います。トイレも、もちろん店内もとっても清潔ですよ。
店内は牡蠣を食べることだけに特化した造りで、中へ入るとすぐに長細い炭火焼コンロとその両側に8人ほどが座れるベンチがあり、隣にも同じセットがもう一台あります。また、増築された奥にもコンロはあって、意外と人が入れそうです。
60分一本勝負! かき食べ放題のシステム紹介
牡蠣小屋の注文システムとしては、キロいくらで牡蠣をセルフサービスで焼いて食べる、というものもありますが、「とれたて漁師の店 稲荷丸」は一時間以内の食べ放題です。
食べ始めから60分で2,600円(税込)、牡蠣の食べ放題+おにぎりとお味噌汁付き。いたってシンプルです。(小学生は1,550円、幼児は550円)
ほどほどに牡蠣を食べて、他の魚貝類もいろいろ焼いて楽しみたいな、という方には向かないかもしれませんが、とにかく牡蠣を食べたい!という方にはほんとにオススメです。
スタート時、既に牡蠣は攻め込んできている
「とれたて漁師の店 稲荷丸」は前払い制。お店へ入るとまず料金を支払います。
その後、指定された席へ着くと、店員さんが目の前の網の上に次々牡蠣を並べていきます。もうその最初のセッティングの時点でかなりの牡蠣の量です!
そして、片手のみの軍手、発泡スチロール製のとり皿、割りばし、牡蠣の殻を開ける牡蠣ナイフ、トングがステンレス製の台の上に置かれます。また、牡蠣ガラ入れとして一人ひとつのポリバケツが配られます。
そして、店員さんから、
- 牡蠣は表面の水分が乾いて白くなったら食べごろ。殻が開いてなくてもOK
- 一巡目以降は自由にコンテナの牡蠣をセルフで焼いていく
等々簡単な説明があります。
ちなみに、このコンテナの牡蠣、なくなりそうになったら補充してもらえますのでご安心を。
経験者がおすすめする牡蠣の食べ方!
さてここからは、何度も「とれたて漁師の店 稲荷丸」を訪れているわたしが、このブログの読者の皆様へ稲荷丸攻略法をお伝えしたいと思います!
なんだか大袈裟ですが、これを知っているのと知らないのとでは大違いですよ。
バケツは足元に!
牡蠣ガラ入れとして配られるポリバケツ。はじめは席の横や後ろに置かれるのですが、オススメの配置場所は断然自分の足の間です!
牡蠣を食べ始めると、当たり前ですがどんどん牡蠣をむいていかなければなりません。その際、いちいち腰をひねって体の横や後ろのバケツに殻を入れるのは大変です。始めはいいですが続けるとけっこう疲れます。
理想的な牡蠣食べ放題のスタイルは座ったそのままの姿勢で食べ続けること。そのためにはバケツは自分の足の間にスタンバイさせて、ちょっとお行儀が悪いですが、殻をむいては膝の間からバケツに殻をいれていく、というのが楽です。
コンロとベンチの間は、ちょっとバケツを入れにくい幅感ですが、斜めにしたりしながらうまく入れてくださいね。
ステンレスの台を調理台代わりに!
さて、いざ焼けていく牡蠣を目の前にして意外と戸惑うのは、焼けた牡蠣の殻をどこでむくのか、どうやってむくのか、ということ。
ここで重要なのは、目の前のステンレスの台は机でもあり、調理台でもあるということです。当たり前っちゃ当たり前ですが、これ、初めてだと意外と悩む盲点なのです。
焼けた牡蠣は台の上に取り出し、軍手をはめた手で押さえながら、牡蠣ナイフで殻をこじ開けます。そして、中身は発泡スチロールのお皿へ、殻は足元のバケツへ。とにかくこれの繰り返し!
また、焼けた牡蠣を炭火の上から一つとって殻をむいて食べ、また一つ牡蠣を炭火からとってむき…という食べ方。それは効率的ではありませんよ!
牡蠣が焼けるまでには少し時間がかかります。ひとつひとつ網の上から取っていてはいつまでたってもコンテナの牡蠣は減りません。
食べ頃に焼けた牡蠣は、まずステンレス台の上に一度に取り出しておきます。そして、焼き網の空いたところに新しい牡蠣を並べ、それが焼けるまでの間に取り出しておいた牡蠣をむいて食べていくのです。
むいた牡蠣は一つづつ食べてもいいですが、熱いしナイフのままでは食べにくいですよね。
何個かむいてお皿に身を入れておき、そのあとナイフをお箸に持ち替えて落ち着いて食べましょうね。焼きたての牡蠣はアッツアツなので、すぐに冷めきったりはしませんよ^^
軍手は濡らしたら終わり!
始めに配られる片手用の軍手。牡蠣むきのとき、利き手と反対側の手にはめて、その手で牡蠣を押さえます。乾いた軍手で熱々の牡蠣に触ってもそんなに熱さは気になりません。不思議!
ですが、一度牡蠣の水分で軍手が濡れるとそのとたん、牡蠣の熱さがダイレクトに伝わって耐え切れません!
アサリなどと違って、牡蠣の殻は十分に焼けていても自然に開かない場合が多くあります。そういうときは牡蠣ナイフでこじ開けるのですが、ぐいぐい力を入れて殻を開けると、うっかり中の水分が軍手にかかってしまうことがあります。
軍手を濡らさないコツは、牡蠣をむくときに殻の全体をしっかりと包むように持つのではなく、殻が開いたときに上側の殻だけに軍手が触れるようにしておくことです。下のほうまでがっちりと握っていると間からこぼれる水分ですぐにびしょびしょになってしまいますよ。
うまく殻の間にナイフが刺さったら、そのあとは軍手をはめた手はそっと添える程度にしましょう。頑張って!
軍手の濡れてしまった部分はそのあと熱い牡蠣に触れることはできません。濡れてないところを使うか、あまりにもひどいときはお店の人に相談してみましょう。
牡蠣小屋におしゃれは不要!(これけっこう重要)
オイスターバーのようなおしゃれ空間で生牡蠣をツルンといただくのも良いですが、炭火で焼かれた新鮮な牡蠣を豪快にいただくのが牡蠣小屋の醍醐味! 牡蠣小屋におしゃれなんか似合いませんよね。
ですがそれ以前に、豪快な炭焼き牡蠣小屋には非おしゃれにならざるを得ない理由があるんです。
というのも、炭火焼で牡蠣を焼いているとときどき、パーン! とものすごい音とともに牡蠣の殻が熱膨張ではじけます。そのときに、水分が飛び散ったり、殻の表面が飛び散ったりするんですね。
それから、室内でガンガン炭火で牡蠣を焼くわけですから、もちろん灰もたくさん舞います。
おいしく牡蠣を食べ終わって店の外へ出て、明るい日の下で同行者とお互いの姿を見てびっくり! 頭から真っ白になっちゃってます。
灰は払えばある程度落ちますが、やっぱり服が汚れるのを気にしていては牡蠣を思う存分食べられません。汚れてもいい服で行きましょうね。
それから、荷物を置く場所もあまりありませんし、やはり汚れるので、所持品は最小限度におさえましょう。
おいしいイカはお店のサービスなのか、それとも罠なのかw
おいしく牡蠣を食べていると、途中で店員さんが「これ、サービスだけど食べる?」と聞いてきます。店員さんが手にするのはスルメイカの一夜干し。
軽く干してあって、見るからに新鮮なスルメイカ。それが一人一枚無料でいただけます。
牡蠣ばっかり食べるのもなあ…なんて思いつつ、「じゃ、いただきます!」と焼いてもらってしまうのですが、これがとっても悩ましいサービスなんです。
というのも、このイカを食べてしまうとけっこうおなかが膨れてしまうんです。
大量の牡蠣を目の前にして、体がもっと牡蠣を! と求めていても、イカでおなかがいっぱいになってしまって食べられないのはかなり辛いものです。そして、このイカが柔らかくて味が濃くて、とってもおいしいところがこれまた悩ましい!
牡蠣も食べたいけど、おいしいスルメイカも食べたいわたしは、最近は同行者と二人で一杯いただくようにしてます。
単なる添え物じゃないよ! おにぎりもお味噌汁もおいしい!
「稲荷丸」では牡蠣の食べ放題が楽しめるわけですが、牡蠣以外におにぎりとお味噌汁がついてきます。これがなにげないものなんですが、おいしいんですよ。
お味噌汁はもちろん牡蠣入り。いいお出汁にお味噌の風味がピッタリ。牡蠣を焼きまくった心がほっと落ち着く優しい味です。
おにぎりはシンプルなごま塩にぎりですが、地元のおいしいお米でうまい!
最近はラップに包んで出されるので、牡蠣でおなかいっぱいになって食べられないときは、持ち帰っておやつにしてもいいですね。
その他のサービスいろいろ
「稲荷丸」には他に、カキフライやカキフライ丼、カキフライカレー(それぞれ1,080円)がメニューとしてあります。
「とにかく焼き牡蠣を食べたいんや!」という方には向かないかもしれませんが、「焼き牡蠣はそんなにいらんわ。」というお連れさんがいる場合でも安心です。
また、お店にはレモン汁やポン酢などの調味料が用意されています。牡蠣の味に飽きてきた…なんて贅沢な悩みごとの解決に、お好みでどうぞ!
他にもスルメイカにぴったりのマヨネーズや七味なんかもありますのでお店の方へ声をかけてみてくださいね。
また、出入り口付近にお茶のサーバーがありますので、セルフサービスでいただきましょう。炭火コンロでホカホカの体と牡蠣の塩気で乾いた喉に冷たいお茶がしみるんです!
もちろん、ビールもありますよ^^
もっともっと牡蠣を…!おみやげも買えます
「稲荷丸」は牡蠣漁師さんが営むお店ですので、とってもお得に牡蠣を買うこともできます。
牡蠣自体はお店で出されているものと同じもの。大きさなどバラバラですが、身の大きな新鮮な邑久牡蠣であることには間違いありません。
正直、食べ放題をすると「もうしばらく牡蠣はいいかな…」という気持ちになりますが、お土産として買って帰るととっても喜ばれますよ。
食べ始める前にお店の人に声をかけると、食べている間に持って帰られるように準備してくれます。
持って帰った牡蠣は、家で炭火焼にするのは大変なので、大きなお鍋にお酒と一緒に牡蠣を入れて、蒸し焼きにするのがオススメです。
予約について
「稲荷丸」は予約については、ゆるい確認という感じです。
5年ほど前に初めて「稲荷丸」へ行ったときは、たまたま「岡山ブルーライン」で見かけた看板を頼りに飛び込みで訪問したのですが、そのときは予約なしで入れました。
その後は行く前に予約の電話をしているのですが、人数や時間、連絡先などをきっちり確認されるわけではなく、どちらかというと、その日お店を営業するかどうかの目安にされてるのかな、という感じです。
ですが、最近はお客さんも増えてきていますし、特に土日は多いようですので、念のため電話で事前に確認をされるほうが無難かもしれません。また、はるばるお店へ向かってお休みだったり、満席で食べられなかったりするとがっくりですしね。
実は「稲荷丸」へ行くことは癒しの旅でもあるのです
牡蠣はご存知の通り「海のミルク」と呼ばれる栄養豊富な食材です。たんぱく質やビタミン、ミネラル、その他さまざまな栄養素が多く含まれています。
中でもミネラル成分や各種ビタミン類は、不足するとストレスを感じやすくなるといわれています。また、牡蠣にたくさん含まれるグリコーゲンは肝臓や筋肉に蓄えられる疲労回復に効果のあるエネルギー源。
「稲荷丸」でおなかいっぱい牡蠣を食べたあと、しばらくするとそれまで重く固まっていた体がふわっと軽くなるような感覚と、何とも言えない幸福感とを感じます。
そして目の前の美しい瀬戸内の海と「晴れの国」と呼ばれる岡山の穏やかな気候。
「とれたて漁師の店 稲荷丸」で牡蠣を食べて、景色を見ながらのんびりしていると、体の中からも外からも、ストレスから解放されて思いっきり癒されますよ!
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