ツールにはない人情も感じられる、それがブエルタ!:ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第2ステージ

洗練されたツール・ド・フランスと違って、ある意味バタ臭いところのあるブエルタ・ア・エスパーニャ。

だからこそ、ツールでは見られないようなレース展開を見ることができるのですが、さっそく第2ステージからおもしろい展開がありましたよ。

スプリントステージを制したのはスプリントの得意なクイックステップフロアーズ

2日目のコース自体はど平坦のスプリンター向けステージ。

通常であれば、数人の逃げグループの後ろを一定のタイムを保って集団が体力を温存しつつ走る、というところですが、この日は逃げが決まることなく、選手全員がひたすら約200kmを集団で走り続けるという展開。

途中、踏切で全員が立ち往生してTGV(新幹線)の通過後に再スタートするなど、200kmとは言わず、10kmくらいのところからヨーイドンでいいんじゃないのと思ってしまうところですが、自転車ロードレースってそういうものなんですよね。

終盤、風を利用して集団を分断させようとチームスカイが一気にペースアップをして、フルームの総合優勝を見据えてばらばらと集団がばらけさせましたが、最終的にレースの主導権を握ったのは、スプリントの得意なクイックステップフロアーズ。

残り1kmほどの地点にあった坂道を利用して一気にペースを上げます。

クイックステップフロアーズのトレンティンが他のチームの追撃をけん制し、そのすきに先頭にいたランパートが加速、そのままトップでゴールしました。

この動画の35秒くらいの雰囲気、いいですよね。観客の向こうを走る選手のスピード感がリアルです!

ブエルタでは人間味をより感じることができる

自転車ロードレースはチーム戦ですので、他のチームスポーツと同様ポジションのようなものが決まっています。

今回のようなスプリントレースだと、数人のアシスト選手が前方でペースを作って、その流れに乗ったエースが先頭の位置を譲られて、最後は全力疾走でゴールをする、というのが王道の展開。

ですが、クイックステップフロアーズのエーススプリンターは実はトレンティンで、1位となったランパートは本来はアシストです。

この、エースとアシスト、という立場はけっこうがっちり決まっていて、チームオーダーを無視し、アシストがエースを差し置いて勝利を求めるなんてありえません。

ですが、このステージでは、これから下り坂、というところでランパートのうしろから、エースのトレンティンが「そのまま行け!」と声をかけます。

GoProの動画にばっちりその瞬間が写ってますね! 25秒あたりからです。

下り坂へ入る直前、トレンティンをアシストしようと先頭へ出るランパート。後ろからトレンティンに声をかけられて、ペースが速すぎると言われていると思ったのか、一瞬ペースを緩めます。

ですが、何度も振り返って確認するうち、トレンティンが「行け!行け!」と叫んでいるのがわかると、そのままランパートは一気に加速します。

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この展開は、ランパートも想定していなかったようですし、チームからの指示ではなく、おそらくラスト1km時点でのトレンティンの判断によるものと思われます。

その後、トレンティンは2位に入っていますので、特段調子が悪かったわけでもなさそうなのに、なぜトレンティンはアシストのランパートに勝たせたのか。

実は、トレンティンは今シーズン限りでクイックステップフロアーズから移籍することが決まっています。

これはわたしの想像でしかないのですが、もしかすると、移籍前に、それまでアシストしてくれていたランパートにお礼がしたかったのじゃないかな。

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↑左がトレンティン、右がランパート

自転車ロードレースはとても人間関係が重要なスポーツ。最近のツール・ド・フランスはあまりにもシビア過ぎる展開で、なかなか勝ち負けの結果以外の部分が見えにくいですが、ほどよくゆるいブエルタではまだまだこういった人間味が感じられます。

 

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大阪北部に生まれ育ったのんびり屋です。
わたしが実際に、

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などなどを好き勝手につづっています。

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2018年度阪急電鉄阪急電鉄『ブログdeバーチャル駅長』コーナーで阪急沿線のことについて紹介するブログを書かせていただきます。

2017年2月20日、有名ブロガーさんが発行する合同メルマガ『EdgeRank』へ寄稿させていただきました!
また、ライターとして月刊誌『CHINTAI 近畿版』にて、地域情報を紹介させていただいています!