いきなりですが、京都に海があるって知ってましたか?
当たり前といえば当たり前ですが、京都=古都京都のイメージだと忘れてしまいがちですが、実は京都府は日本海に面した自治体です。
そんな京都の一番北の端にある京丹後市間人(たいざ)は知る人ぞ知る温泉と新鮮な海の幸が楽しめる町です。その中でもちょっと他とは違う旅館「うまし宿 とト屋」についてご紹介します。
2016年7月9日の「朝だ!生です旅サラダ」でも藤井フミヤさんが訪れていた宿ですね。
Contents
京都府 京丹後市 間人にある料理宿「うまし宿 とト屋」
「うまし宿 とト屋」は京都府の京丹後市間人にある旅館です。
場所はこちら。
京丹後市は京都の北部丹後地方にある近畿でも最北に位置する自治体です。丹後半島の東側には宮津市、与謝野町がありますが、それ以外の半島のほとんどは京丹後市が占めています。
大阪や京都、神戸など関西の都市部からはかなり離れた場所にありますが、大陸と近い場所にあることなどから、古代から独自の文化を育んで人々が暮らしてきた地域です。
その中でも「とト屋」のある間人(たいざ)は、聖徳太子のお母さんである間人(はしうど)皇后にその地名が由来するとも言われ、近くには大きな古墳があるなど歴史のロマンを感じさせる場所でもあります。
現代の間人は、日本海とリアス式の海岸線が織りなす自然美や、丹後ちりめんの織機の音が聞こえる古い町並み、そして超高級ブランドずわい蟹として知られる「間人ガニ」などの海の幸が味わえる場所として観光客にも静かな人気です。
「うまし宿 とト屋」は他の宿とは少し違う
間人温泉郷とも呼ばれ、何軒かの旅館がある間人ですが、その中でも「とト屋」は他とは少し違う特徴的な宿です。
旅館全体が一つの小さな美術館
部屋数10室ほどの小さな旅館である「とト屋」ですが、そのあちこちにこだわりのしつらえが施してあります。
部屋の壁に飾られた絵画や料理が盛りつけられる器・敷き紙、廊下にさりげなく置かれた花器や露天風呂まわりのエクステリア、はたまた浴衣や座布団カバーまで、丹後半島にある大江山の鬼伝説をモチーフにしたものや古代の力強さを感じさせるようなデザイン、民芸調のものに統一されています。
和の繊細さではなく、おおらかな古い日本を感じさせ、同じ京都でも都ではなく丹後に来ているんだなあと思います。
シーズンオフでも楽しめる体験型プログラム
間人は「間人ガニ」という高級ブランドガニで有名な土地柄、冬に訪れる人が多く、また夏は海水浴客などでにぎわいますが、それ以外の季節でも丹後の自然と食を存分に楽しめる体験型プログラムが準備されています。
例えば、「とび丸タクシー」と銘打って漁船のチャーターを斡旋し、宿泊客が漁師体験やクルーズ体験などを楽しめるようにしています。
付近一帯は「山陰海岸ジオパーク」という地質遺産に指定されていて、海岸段丘や海の洞窟など、海からでないと見ることができない絶景もあり、また漁師体験で持ち帰った魚を朝食として提供してくれる宿泊プランもあります。
また近年、丹後地方の自治体は外国人観光客も誘致していて、「とト屋」でも寿司体験や着物体験などを通じて積極的に外国人観光客に丹後の魅力をアピールしています。
丹後は日本の都会とは異なる景色が楽しめ、またアジアなどで人気のある日本産のブドウやメロンなどのフルーツ狩りができる農園もあって喜ばれるんだそうです。外国にはあまり「フルーツ狩り」というのがないのですって。
他にも、泊まる部屋のすぐ外の廊下まで自転車を持ち込めるサイクリスト向けのプランなどなど、アイデア満載の宿なのです。
「とト屋」のバーチャルツアーへようこそ
それでは、「とト屋」の中を少しご案内しますね。
間人の町の東のはずれ、竹野川沿いの細い道を海へ向かって進むと左手に「とト屋」が見えてきます。
フロントなどは写真中央の建物、実際に宿泊する部屋は左手奥の3階建ての建物です。
廊下のあちこちに面白いものが
宿泊棟は、建物自体はシンプルな構造ですが、あちらこちらに花が活けてあったり、渋い調度品があったり、殺風景にならないように工夫されています。
いろいろゆっくり見て回ると面白い発見がありますよ。
大きな窓の明るい部屋 設備は必要最小限
部屋に入って先ず目にするのは壁一面の大きな窓から見える景色です。
「とト屋」は海のすぐそばにありますが、防風のための松の林が目の前にあるので、正直なところ海はあまり見えません。3階の部屋なら水平線も見え、夜になると漁火が見えますが、2階の部屋では松林の隙間からのぞく程度。
ですが、すぐ目の前には田んぼがあり、またそこへ食事をしに来る野鳥が集まってきたりして、まさに日本の里の風景を楽しめます。
ときどきキジの鳴き声も聞こえたりして、町では味わえないひと時です。野生のキジって見たことありますか? 「とト屋」の駐車場の近くを子連れのキジ家族がちょこちょこ歩いていたこともありましたよ。
部屋は大きく分けて2種類の広さがあります。広いほうの部屋にはバスルームがありますが、狭いほうはトイレと洗面台のみ。でも、温泉の浴場があるので部屋のお風呂は使わないかな…?
クローゼットの中には浴衣とバスタオル、フェイスタオルと歯ブラシのセットが用意されています。浴場への移動に便利な巾着袋付きです。
部屋には冷蔵庫はありませんが、廊下に共同の冷蔵庫があります。中に部屋番号の書いてあるボックスがあるので冷やしたいものはそこへ入れておきます。普通の家庭用の冷蔵庫なのでちゃんとした冷凍庫もありますよ。
また、丹後地方の歴史や自然に関する書籍が何冊か置いてあります。たまにはのんびりと、知らない土地のことを調べながら静かに過ごすのもいいですね。
間人温泉でゆっくりと…
温泉はすこしとろみのあるお湯で、すごく体が温まります。浴場自体は少し狭いですが、露天風呂もありのんびりできます。団体さんがいるときなんかはすいてるタイミングを狙いましょうね!
新鮮な魚介づくしに丹後の地酒 デザートは手作りのアイスクリーム
冬はカニ目的のお客さんがはるばるやってくる間人ですから、料理がおいしくないわけありません。
プランによって内容は様々ですが、新鮮な魚が食べられるのはどのプランでも同じでしょう。もちろん、冬は女将さんが港で直に選んで買い付ける間人ガニをいただくのもいいでしょうね。お値段はそれなりにしますが漁場に近い間人の貴重なカニですから…!
食事は部屋食かプランによっては落ち着いた雰囲気のダイニングでいただきます。
ダイニングの横にはバーカウンターがあり、希望があれば女将さんがおすすめのお酒を飲ませてくれるそうです。以前は京都市内で修行をされたバーテンさんがいたのですが、今は独立されたんだとか。バーテンダーのお兄さんに宮津の竹中缶詰のオイルサーディンを教えてもらったんですよね。お元気かな。
おいしいものをおなかいっぱい食べて、大満足です!
いつもの旅行とは違う観光気分を味わいに
日本海沿いには温泉のある観光地が他にもたくさんありますが、丹後地方は少し前まで都市部からの交通の便が悪かったため、他では失われてしまった町の風情や自然がまだ残っています。
最近はどこへ行っても、チェーン店が立ち並ぶ大きな通りがあって、大型ショッピングモールがあって、という同じ街並みですよね。生活するには便利かもしれませんが、やはり普段と違う文化を感じるのが旅の醍醐味。
今は宮津まで高速道路が開通しているので京都、大阪、神戸といった街からも間人へは車で2時間半ほど。
小さな港に波の音とカモメの鳴き声、古い町並みを歩くと丹後ちりめんの織機の音がカシャカシャ聞こえてくる…
そんな静かな丹後の町・間人の中でも、他の宿とは趣の違う「うまし宿 とト屋」で、せわしない日常から離れてのんびり過ごしてみませんか。