灘菊酒造「前蔵」:姫路の酒蔵で食べる発酵食品づくしの贅沢ランチ

姫路にある明治43年創業の地酒メーカー灘菊酒造。地元の酒米を使った手仕込みにこだわる造り酒屋さんです。

木造の酒蔵が立ち並ぶ工場内をゆっくりと見学ができる酒蔵見学が楽しめますが、その敷地内の一角に食事を楽しめる酒蔵レストランもあります。

今回は、酒蔵として使われていた趣のある建物の中で、酒蔵ならではの発酵食品を使った食事ができるレストラン「炭鍋と豆富料理 前蔵」をご紹介します。

姫路市手柄にある酒造会社「灘菊酒造」

灘菊酒造は姫路市手柄にある酒造メーカです。

場所はこちら。

姫路駅から山陽電鉄で一駅の「手柄」で降り、ぶらぶらと歩いて5分ほど。気候のいい頃は姫路駅からのんびり歩いてもいいかもしれません。南へ歩いて20分ほどです。

灘菊酒造には広い駐車場もありますので、もちろん車で行くのもいいですが、そうするとせっかくの日本酒が味わえないのですよね、残念!

けど、ドライバーさんには甘酒の用意もされていますので、まあまあ一安心です。

木造の酒蔵を改築したレストラン「炭鍋と豆富料理 前蔵」

左手の小屋っぽい建物が実はレストラン

左手の小屋っぽい建物が実はレストラン

灘菊酒造の広~い駐車場の一番奥まったところに杉玉が吊るされた工場の入り口があります。そこを入ってすぐ左手の建物が「前蔵」です。

一見、ここがほんとにレストランなのかな…? と不安になるような木造の古い建物に、これまたいかにも古そうな引き戸が付いています。

灘菊酒造のサイトなどを見てみると、きれいな看板や入り口があるようなのですが、たまたま入った場所が悪かったのか、もしかしすると裏口だったのか…。

ちょっと入るのをためらってしまいそうな雰囲気のファサードなのですが思い切って扉を開けてみると、中はなんとも趣のあるレストランなのでした。

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おしゃれ過ぎないところが良いのです

天井の高い木造の建物をそのまま使い、土壁も梁もそのまま見えるようになっています。おしゃれにリノベーションされているというよりかは、昔使っていた建物を流用した、というイメージではあるのですが、そこがかえって懐かしい感じもします。

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ちょっとステージっぽくもある

一部分、畳敷きの小上がりのような場所があって、その梁のようすから、もしかすると元々はそこが1階の天井の高さだったのかな、なんて思ったり。本来はどういう建物だったんでしょうね。

レストラン自体はそれほど大きなものではなく、一般的なグループが8~10組くらい入るといっぱいになるような広さです。2階席もあるようですが、今回訪問した際は1階のみの営業のようでした。

団体の観光客向けに別の酒蔵レストランが工場の敷地内に他に三カ所ありますので「観光スポットみたいだし、にぎやかな団体さんと一緒になると嫌だな・・・」という心配は無用ですよ。

酒蔵ならではの発酵食品を活かしたコースメニュー

「前蔵」ではランチ・ディナーともに数種類あるコースメニューから、予算とおなかのすき具合なんかと相談してメニューを選びます。ちょっとした贅沢をすることもできれば、けっこうな贅沢までできちゃいますよ。

ランチメニューのラインナップ

今回はランチの時間帯でお邪魔したのですが、次の三種類のメニューがありました。

  • 「備長炭で焼いた塩麹漬 鶏もも肉」コース:1,620円
  • 「鯛のかぶと煮」コース:2,160円
  • 「元祖 綿菓子牛鍋」コース:3,780円

メインの料理によってお値段が上下します。そんなにガッツリ食べる予定ではなかったので、一番お手ごろなコースをお願いしました。

「備長炭で焼いた塩麹漬 鶏もも肉」1,620円のコースはこんなの

「備長炭で焼いた塩麹漬 鶏もも肉」の1,620円のコースをオーダーしたあと、まず運ばれてきたのは小鉢の盛り合わせざるこし豆腐白身魚の(おそらく)酒粕味噌漬け焼き、それから食前酒です!

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見てるだけでウキウキ!(特に中央部)

なんだか盛りだくさんでいきなりテンション上がりますねw

ふと周りを見渡すと、女性ばかりのグループが何組か・・・。亭主元気でなんとかを具現化している店内です。けど、今は女性も当たり前のように働いている時代ですもんね、たまにはこれくらいの贅沢は許されるでしょう。

などとごちゃごちゃ言いながら昼間から飲む酒はうまい!

かわいらしい小鉢で出てきたお惣菜たちですが、ポテトサラダに見えるのはおからを使ったサラダだったり、キュウリの粕漬けにもろみが添えられていたりと、それぞれ少しずつ味付けに工夫がされていて、発酵食品などの独特の深い旨みも感じられて、どれも日本酒に合うのです。

お酒に合う料理といえば味付けの濃いものを想像しますが、こういうのもありなんだなあと新しい発見です。

このあたりでけっこうおなかいっぱいです

このあたりでけっこうおなかいっぱいです

メインの塩麹漬けの鶏肉を炭火で焼いたものは、もちろん香ばしくもあるんですが、塩麹のせいかふっくらとやわらかく、また控えめの塩味にワサビを添えていただくと鶏肉の味がしっかり感じられます。さっぱりとした甘酢漬けの野菜とも相性もぴったり。

けどこの少しのごはんがうれしいのです

けどこの少しのごはんがうれしいのです

おなかいっぱいでも汁物は欲しいのです

おなかいっぱいでも汁物は欲しいのです

ごはんは地元姫路市夢前町で採れた紫黒米という古代米と一緒に炊かれていて、ちょっと赤飯のような色がまたうれしいですね。汁物は冬は酒粕を使った一人鍋のようですが、夏なので普通のお椀に入った粕汁でした。

一人鍋ではないというのは、建物の天井が高くてエアコンがあまり効いておらず、おそらく鍋にすると熱がこもってすごいんだろうなあとも思うのですが、この粕汁が冬によく食べる酒粕の濃いものではなくて、お味噌汁にほんのりと酒粕を加えたようなさっぱりしたもので、夏はこういうのもいいなあとこれまた新しい発見でした。

デザートはいわゆる別腹というやつです

デザートはいわゆる別腹というやつです

〆には初めて口にする甘酒のアイスクリーム。「甘酒」ということでどんな味がするのかと思ったら、意外と日本酒の味がダイレクトに感じられるとてもおいしいアイスクリームでした。うむ、また食べたいなあ

見た目は普通の料理ですがなかなかどれもおいしいものばかり。家庭で真似できそうな丁寧な和定食というメニューでした。食前酒までついてこれで1,620円はお得すぎです。

また、食前酒として飲ませていただいた灘菊さんの日本酒ですが、塩をなめながらチビチビと、というのではなく是非ともごはんと一緒にいただきたいなあというお酒でした。

夜のコースは予約制です

夜のコースは予約制で、やはりメインの料理によって3種類に分かれています。

  • 「夜の大返しめし」コース:3,780円
  • 「季節のおすすめ」コース:4,320円
  • 「元祖 綿菓子牛鍋」コース:5,400円

「季節のおすすめ」と「元祖 綿菓子牛鍋」には牛鍋がついてきます。お値段の差はお造りなんかがあるかないかかな?

最近たまに見かけるすき焼きに綿あめを使うやつ。なんでもこちらのレストランが発祥なのだとか。関西のすき焼きは割下ではなく砂糖と醤油(と水)で味付けをするのですが、その砂糖の代わりに綿菓子を使うんですね。

「夜の大返しめし」コースは、長距離を一気に移動して明智光秀を打った「秀吉中国大返し」の際、姫路でみんなでごちそうを食べて合戦に備えた史実にちなんだネーミングのようです。「秀吉中国大返し」を成功させた黒田官兵衛は姫路にゆかりのある人物でもありますね。

帰りは隣接の売店でお買い物を

食事を楽しんだ後はすぐ隣にある直売店で日本酒などのお土産物を買うことができます。

日本酒、にごり酒、甘酒など、売店のお姉さん方がガンガン試飲を勧めてこられます。量は少しずつですがいろんな種類を結構なハイペースで飲みますので、お酒の弱い方はお気を付けくださいね。最後にアルコール度数36度のリキュールをいただいたときはさすがのわたしも「チェイサーください!」とお願いしたくなりました。

他にも、みりんと甘酒のソフトクリーム「黒甘(くろかん)ソフトクリーム」というのもあり、おなかいっぱいで食べられなかったのが心残り!

灘菊酒造の甘酒を使ったソフトクリームに、灘菊の本家である川石本家酒類の10年間熟成させた黒蜜のようなみりんをトッピングしてあるんだそうです。

今度行った際には必ず食べねば…!

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灘菊酒造:姫路の木造・鉄筋コンクリート造の酒蔵見学で感じる酒造会社の風情と歴史

2016.07.18

ABOUTこの記事をかいた人

大阪北部に生まれ育ったのんびり屋です。
わたしが実際に、

*訪れてみた場所・お店
*食べたり、使ってみたもの
*ぼんやりと思った気持ち

などなどを好き勝手につづっています。

さらに詳しいプロフィール

2018年度阪急電鉄阪急電鉄『ブログdeバーチャル駅長』コーナーで阪急沿線のことについて紹介するブログを書かせていただきます。

2017年2月20日、有名ブロガーさんが発行する合同メルマガ『EdgeRank』へ寄稿させていただきました!
また、ライターとして月刊誌『CHINTAI 近畿版』にて、地域情報を紹介させていただいています!