高松市沖に浮かぶ島「男木島(おぎじま)」。
昔の映画に出てきた古い灯台があるくらいで、周囲5㎞にも満たない小さな島には正直これといった名所や名物もありません。いわゆる限界集落と呼ばれる地域でもあります。ですが、なぜか島の魅力に取りつかれる人が後を絶たず、最近は移住者も増えています。
今回はそんな男木島のトリコとなってしまったある人が、その思いを伝えるために作った場所「オギノトリコ」をご紹介します。瀬戸内国際芸術祭の島めぐりの予定に是非加えてみてくださいね。
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「オギノトリコ」のある男木島
「オギノトリコ」は香川県高松市の男木島にあります。
男木島の場所はこちら。
高松港からフェリーで40分ほど。途中の女木島へ立ち寄るせいで少し時間はかかりますが、直線距離では8km足らず。島自体は高松港からも見えています。たぶん、漁船などで飛ばせば20分くらいで着いちゃうのじゃないかな?
人口百数十人ほどの男木島は過疎の島。以前は多くの人々が家屋の密集した斜面の集落で暮らしていましたが、今、住民のほとんどは高齢の方々。お隣の女木島のような観光地でもなく、瀬戸内の海にひっそり浮かぶ小さな島です。
男木島の魅力に取りつかれた女性
「オギノトリコ」は男木島に不定期で現れます。中心となって運営しているのは神戸さんというまさに男木島のトリコになってしまった女性です。
世界のあちこちを船でまわったり、都会でフォトグラファーとして暮らしたりしていた神戸さんですが、あるときふと瀬戸内の島めぐりをしようと思い立ちます。そして、高松から船に乗り、男木島へ。
静かな男木島にあるのは海と空とかわいらしい灯台だけ。そんな静かな島で出会った人たちとぽつりぽつり交流するうち、男木島の不思議な魔力に取りつかれてしまった神戸さんは、けっきょくそのまま島めぐりをやめてしまいます。
それ以降、定期的に男木島に滞在するようになった神戸さん。2016年春に地元の人たちの協力の元、「オギノトリコ」を開くことになりました。
男木島の斜面に立つ小さな家「オギノトリコ」
「オギノトリコ」は男木島の古い民家を改装したスペースです。次の二つの要素から成り立っています。
男木島の魅力の源泉「かんべのおぎびと写真館」
まず、フォトグラファーの神戸さんが撮影した男木島の人々の写真を中心とした展示です。
男木島は風景のきれいな場所ではありますが、ここで見られるのはほぼ人物の写真です。
神戸さんが思う男木島の魅力はその島に住む人々。古民家の壁に貼られた数々の写真は神戸さんがどうして男木島のトリコになったのかという理由そのものなのです。
知らない人が写っている人物の写真って圧迫感を感じて、ともすると見ていると疲れることもありますが、神戸さんが撮った男木島の人たちの写真はどれも自然です。
楽しく会話をしている笑顔の写真も、神事の時の真剣な表情も、何気ない瞬間を切り取った立ち姿も、どれもが男木島に溶け込んだ神戸さんの目を通して見ることのできる普段の男木島の日常の風景なんですね。
世界3位のナポリピッツア「PIZZERIA AL CENTRO」
石窯でのピッツアの提供は2016年の瀬戸内国際芸術祭の会期の終了に合わせて一旦お休み中です。
男木の人たちの写真の展示と並んで「オギノトリコ」で楽しめるのはなんと石窯で焼いた本格的なピッツア。
香川県丸亀市にある「PIZZERIA AL CENTRO」というお店のアンテナショップがオギノトリコにはあるんです。
「PIZZERIA AL CENTRO(ピッツェリアアルチェントロ)」はナポリピッツァ職人協会認定の職人さんが焼く本格的なナポリピッツアを提供するお店です。なんと2015年のピッツァ職人世界選手権で3位になったんだそうですよ。
「オギノトリコ」へ写真を見に来る人たちがゆったりと男木島の雰囲気を味わいながらくつろげるよう、なにかおもてなしができないかと考えた神戸さん。そして声をかけたのが男木島と同じ香川県にあるお店「PIZZERIA AL CENTRO」さんでした。
「PIZZERIA AL CENTRO」の店主さんと神戸さんはもともとお友達。普段は関東をベースに活動している神戸さんが男木島を訪れるきっかけとなった人なのかもしれませんね。
薪窯で焼かれるピッツアはふっくらもちもち。周りがぷっくりカリカリに香ばしく色づいているのもたまりません!
ビール片手に瀬戸内の多島美と行き交う船を眺めながら、テラスで本格ピッツアをいただくひと時…。そりゃだれでもオギノトリコになりますよw
「オギノトリコ」で感じる男木島の魅力と「オギノトリコ」の魅力
「オギノトリコ」は今は瀬戸内国際芸術祭の会期に合わせて営業されています。3年に一度の芸術祭、来年以降の「オギノトリコ」はどうなるのかな…?
【2016年11月追記】
…と思っていたら!
「オギノトリコ」は瀬戸内国際芸術祭閉会後も継続されるそうです!
神戸さんは元々は写真家さん。どんどん写真を撮りにあちこちへ行くのが本来のお仕事です。
いろんなところへ出かけていった神戸さんが、ふらりと戻ってこられる場所が、男木島や「オギノトリコ」なのかな。
今後、具体的にどのような形になるのはまだわかりませんが、これからも男木島らしくのんびりゆったりオープンされるんでしょうね。
小さな島に静かに立っているだけだった古民家を、島のお父さんたちやいろんな縁で結ばれた人たちの手を借りて神戸さんが素敵な場所に作り替えた「オギノトリコ」。男木島の魅力と、その魅力のトリコになってしまった神戸さんの魅力を感じられる場所です。
不定期に開いている場所ですので、オープン予定は是非FACEBOOKなどでご確認下さいね。
「オギノトリコ」に神戸さんがいらっしゃるときは是非、男木島の魅力について、直接お話を聞いてみてくださいね。