【なタ書】高松にある完全予約制の古本屋さん:だけど予約しなくても行けるかも!

本を読むのは好きだけど、お気に入りの本を繰り返し読むだけで、多読はできない。最近の読書ペースは年数冊…。

そんな中途半端に本好きなわたしですので、古本屋さんという場所はなんとなく敷居が高いイメージ。ほんとの読書家でないと行ってはいけないんじゃないかしら、と思ってしまいます。

ですが、高松で泊まったゲストハウスTEN to SEN さんで「ここ、すごく変わってておもしろいから!」とある古本屋さんをオススメされました。

「変わってるってどういうこと?(怖いよ~)」と思いましたが、それからその本屋さんのことが気になって気になって…。勇気をふりしぼって行ってまいりました。

今回はそんなすごく変わってておもしろい完全予約制の古書店「なタ書(なたしょ)」のご紹介です。

高松市瓦町にある古本屋さん「なタ書」

「なタ書」は高松市の瓦町にある古本屋さんです。

場所はこちら。

瓦町は香川県を走るローカル線「ことでん」の一番大きな駅のある街です。

近くには官公庁や金融機関の本店が立ち並び、昔は駅前にデパートもあったりと、ちょっとした繁華街だった瓦町界隈ですが、近年は郊外にできたショッピングセンターや、車で移動する人が増えた影響か、正直ちょっとさびれ気味な感じ。

ですが、最近の高松は瀬戸内国際芸術祭の影響もあるのでしょうか、若い人たちの行き来も増え、瓦町周辺も「なタ書」をはじめとした個性的な本屋さんがオープンするなど、少し活気も戻ってきた感じ。

「なタ書」はそんなおしゃれな雰囲気と昭和の風情が入り混じる商店街にあります。

なんかちょっと入りにくい! 独特の雰囲気を醸し出すファサード

南新町商店街というアーケードにあるCoco壱番屋横の筋を一歩入ると、そこは昭和にタイムスリップしたような街並み。それも、昭和の夜の街にタイムスリップしたかのような感じ。

通りを歩くのは飢えた野良猫のみ(嘘です、かなり脚色してます)

ほんとにこの通りでいいのかな、と思いながら歩いていると、左手の建物の前にさび付いたベンチと看板が。そして、ベンチに立てかけられた黒板には「なタ書 ↑2F」の文字。

なにやら緑が生い茂る「なタ書」前。逆さに立てかけられた箒に意味はあるのか…。

「まさか、ここ?????」と思いつつ、ぼろぼろの建物を前にしばし立ち尽くしてしまいます。

ですが、よくよく観察してみると、一見アングラ的な店構えながらも、そこから感じるのは非常にウェルカムな雰囲気。

茂り放題のように見える店前の緑も、人が通りやすいように手入れがされていますし、こういうお店にありがちな「扉を開けるのに勇気いる…!」というハードルを下げるように、玄関の扉は始めから開かれています。

それも、全開ではなく、外からお店の中を覗き見る楽しみも残しつつ、人が通るには十分すぎる絶妙な開き加減です。

かわいらしい鳥のアイアンのオブジェの横には古いパソコンのモニタ。なぜ…?

「なタ書」の店内は誰かの記憶の中みたい

「なタ書」の店内に思い切って入ってみると、そこは溢れかえる情報の海。

本棚にびっしり詰まった本だけでなく、壁に貼られたポスターや通路に置かれた椅子の上になにげなく置かれた本の数々。それらを眺めていると、本屋の中にいるというよりも、誰かの頭の中の記憶に紛れ込んだような落ち着かない気持ちになります。

人肉を食べて命をつないだ話の本の隣には、なぜか懐かしい女子向け雑誌「Olive」が並んでいたり、手作り感溢れ過ぎる不思議な雑貨が本棚の上に置いてあったり…。

玄関スペースから始まる情報の渦!

階段を上った正面のスペース。そこには本と一緒に怪しげな人形が…。(というかそもそも人形なのかもわからない。)

いったいここは何なんだ…と少し圧倒されつつも本棚に並ぶ背表紙を眺め、「SFファンタジア」なんていう70年代のSFのムック本を見つけて、「これ一度見てみたかったやつ!」と竹宮恵子の短編漫画を読んでみたり、他にも気になる本を手に取ってぱらぱらとページをめくっていると、いつのまにか異空間だった店内が、自分の頭の中になってしまうような不思議な感覚。

売られている本のジャンルは様々。ほんっとに様々。

今はインターネットで欲しい本をすぐに買える便利な時代ですが、どちらかというとそれは、始めから自分の興味のある本を探して購入するスタイル。

それに対して、小さな書店で自分以外の人の経験や好みに触れながら、たまたま出会った本を買うということは、記憶や情報の伝搬という意味では自然なことなんじゃないかしら…なんて、気持ちよくふらふら店内を巡りながら考えてしまったりして。

タイトルからしてわたしのど真ん中です

そんな今回の「なタ書」さん訪問でわたしが購入したのは、タイトルの響きに惹かれて手に取ったこちらの本。

1900年代前半に活躍したフランスの小説家・ピエール・マッコルランの「恋する潜水艦」という表題作を含む3つの冒険小説集。

まだ読んでないけど、本の紹介に「ダダイズム」だとか「未来派」なんて言葉が並んでいるので、稲垣足穂が好きなわたしにピッタリのはず…。

雑然としているようで計算し尽くされた素敵な本屋さん

「なタ書」の店主・藤井佳之さんは、本屋さん界隈では有名な方のようで、「なタ書」の経営以外にも、長野などの本屋さんのプロデュースをされたり、トークイベントに登壇されたり、文章を書いたりと、様々な活動をされています。

実は、この「なタ書」、完全予約制の本屋というコンセプトや見た目の混沌とした怪しげな雰囲気から、ちょっとキワモノ的なお店なのかな、と思いがちですが、もうほんとに普通のちゃんとした本屋さんです。

その証拠に、あとで確認してびっくりしたのですが、お店の中で撮らせていただいた書棚の写真がとても整然として見えるのです。

実際の店内は、もっと混とんとして見えたのになあ。

「なタ書」の中の本は、本棚のもの以外にも、床や椅子の上に、まるで誰かが手に取った後のように適当に置かれたような本もあります。

ですが、きちんと整えられず好き勝手に置いてあるだけのように見えますが、よくよく見てみると、敢えて斜めにずらしてディスプレイがされているのに気が付きます。

いつ開いているのかわからない、お客さんが長居していたら電器の消し方を教えて先に帰っちゃう、なんておっしゃる店主さんですが、なんとも言えないその緩さとは裏腹に、「なタ書」は本屋さんのプロが作っている古書店なんだなあ、としみじみ思うのでした。

お店では靴を脱いで上がるのだよ。

お店へお邪魔したときは全然気が付かなかったのだけれど、あとで写真をよく見てみたら、男木島にある「オルガン」という谷口智子さんのアートと同じものが階段のところにあった!(白と青に塗られたパイプみたいなの。)

「なタ書」の店舗情報:予約の方法

「なタ書」は完全予約制の古本屋さんです。

予約は電話かSNS等で。

  • 電話:070-5013-7020
  • メール:natasho0718@gmail.com
  • Facebook:なタ書(@natasyo
  • twitter:藤井佳之 or キキ(@KikinoNatasyo

時間等、店主さんの都合がつけば、けっこう融通きかせてもらえるようです。

ですが! 知らない人の電話にいきなり電話とかようせーへん、というようなシャイな人もご安心を!

twitterで開店情報をつぶやかれているときもありますので、そちらをチェックされてもいいと思います。

もちろん、直接予約の電話をされても、店主さんは怖い人ではないので大丈夫ですよ!

ABOUTこの記事をかいた人

大阪北部に生まれ育ったのんびり屋です。
わたしが実際に、

*訪れてみた場所・お店
*食べたり、使ってみたもの
*ぼんやりと思った気持ち

などなどを好き勝手につづっています。

さらに詳しいプロフィール

2018年度阪急電鉄阪急電鉄『ブログdeバーチャル駅長』コーナーで阪急沿線のことについて紹介するブログを書かせていただきます。

2017年2月20日、有名ブロガーさんが発行する合同メルマガ『EdgeRank』へ寄稿させていただきました!
また、ライターとして月刊誌『CHINTAI 近畿版』にて、地域情報を紹介させていただいています!